実績

後述では、これまでの「実績」と「今後の取組み」の事業内の詳細を明確にご説明します。
以下に、業績について述べます。約2年間の間に関わってきた案件は下記の1~4です。

1:2016 年 12 月~2017 年 10 月:【財務省案件】
M 社の Fusion Invest 導入、外債等取引管理システム、新規パッケージ導入案件

2:2017 年 11 月~2017 年 12 月:【みずほ銀行案件】
信用リスク評価システムの計算エンジンにおける「Monte Carlo 法の高速化」に関する案件
※〔企画書有り〕

3:2018 年 02 月~2018 年 05 月:【アセットマネジメント One・資産運用会社案件】
当行の主要外販パッケージ(BlackRock 社の Aladdin)以外で使用されている EUC ツールの改修 対応案件
※ BlackRock 社の Aladdin は、資産運用に係るポートフォリオ分析から一連の運用業務プロセスを 包括的にサポートする全社的プラットフォームです。

4:2018 年 06 月~現在:【みずほ銀行案件】
信用リスク評価システムのリスク計算エンジン(解析的手法※1)に対して銀行オリジナルのモデル 評価手法(Quasi Mark to Market:準 MtM※1)に関する案件
※1:某メガバンクのオリジナル計算エンジンの評価方式モデルです。その評価方法である準 MtM もオリジナルアルゴリズムです。

これらのうち、2と4については、
今後弊社として特に力を入れたい信用リスク領域に係る内容であ るため、具体的な説明について後述します。
金融取引に関わるリスクには、

・信用リスク:債務者が債務を履行できなくなるリスク。デフォルトリスクともいいます。
・カウンターパーティーリスク:取引の相手側の事情により取引が完結しないリスク。
・市場リスク:金融市場における価格や金利の変動によりもたらされるリスク。

があり、これらはいずれも金融機関の現状把握と経営判断に利用される重要な情報です。

LANMCE(株)は、設立以来主に信用リスク領域に携わってきました。金融機関における信用リスク とは、取引先の信用力の変化(デフォルト、格付けの遷移等)によって貸出債権の価値が消滅(ゼロ) もしくは下落することにより損失が発生する可能性を算出することであり、契約内容によりリスクのあ り方が下記の2通りに分けられます。

(1)片方向リスクをもつ契約
株式や社債の購入、銀行預金、貸出ローン、信用保証、あるいはオプション、保険等の金銭を直接 相手に与える契約(金銭が担保される契約)。

(2)双方向リスクをもつ契約
金利スワップやいろいろな先渡(フォワード)契約など、そのペイオフとして金銭の授受が双方向 に伴う可能性をもつ契約。 ※ペイオフとは、破綻した金融機関に代わって、預金保護機構が預金者に預金を一定額までは払い 戻す制度。

銀行経営における信用リスク計測の目的は、「各エンティティ(某銀行、某フィナンシャルグループ、 某信託銀行)の与信企画部の与信ポートフォリオの信用 VaR を定期的に計測し、信用 VaR が引当金+自 己資本の範囲内に入っているかを確認し、銀行グループの財務健全性をモニタリングすること」である と言えます。「信用リスク計測」は、リスク計測システムを用いた統計的な手法によって、今後1年間に 予想される平均的な損失額(信用コスト)、一定の信頼区間においける最大損失額(信用 VaR)、および信 用 VaR と信用コストとの差額(信用リスク量)を計測し、ポートフォリオから発生する損失の可能性を 管理しています。

LANMCE(株)は、このリスク計測システムにおける計算エンジンの部分に主に携わってきました。 具体的な内容としましては、「Monte Carlo 法の高速化対応」や「オリジナル評価方式の新規構築対応」 が挙げられます。

リスク計測システム(情報系のミドルシステム)はトラブルがあっても銀行経営は短期的には揺るが ないことから、重要視すべきは「不具合が 100%発生しない堅牢性」よりもむしろ「計測モデルの妥当性」 にあるという考えのもと、「仕様を正確に理解しシステムに反映させる」ことを重視して設計・開発を行 ってきました。また、信用 VaR には「正解」がなく、PV・FV や信用 VaR における「1 円レベルの誤差」 に本質的な意味はないものではありますが、これは誤差を無視しても良いという意味ではなく、テスト ケースの網羅性やテストの合格基準は様々な要素を勘案し、総合的な判断のもとで決定するようにしてきました。